関西の都市部からほど近い「ひょうご北摂」。
一方で、懐かしさすら感じられる、
美しい野山が点在するところも意外な魅力の一つ。
農的な暮らし、さらには本格的な農業も。
生き方の選択肢と可能性がここにはあります。
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心がホッと落ち着く、猪名川町の田園風景。

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日々試行錯誤しながら育てている野菜たち。

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旬の野菜を詰めた、個人への発送も行っている。
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農家・『トミーファーム』代表 富永剛志さん
真剣な姿勢に、応えてくれる人がいるまちです。
『道の駅いながわ』や、スーパーの地元生産者のブース、またJA兵庫六甲の農産物直売所『スマイル阪神』が出荷先の中心。都市部から近く、販路には恵まれていると思います。能勢電鉄の日生中央駅や大型商業施設まで車で10分ほどですし、日々の生活にも便利ですよ。

猪名川町にUターンし、農業を始めた富永剛志さん。それまでは家族とともに街なかに暮らし、鉄筋工を生業としていた。子どもが生まれ、「自営でなにかやれたら」と思っていた矢先、たまたま目にしたテレビ番組をきっかけに、農業に興味を持ったという。「それまでは焼鳥屋をしようと思っていたんです(笑)。でも、農業で食べていけるなら、おもしろいかなって」。両親の田舎である熊本県阿蘇市も候補地だったが、「地元の先輩が猪名川町で農業をしていたので、相談も兼ねて、1か月くらい手伝いに通っていたら、たまたま畑を1枚貸してもらえることになったんです。すごくラッキーでした」と富永さん。

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農業を始めた当初に比べ、富永さんの畑の数も増えた。

農業経験ゼロ、両親もサラリーマン。未知の世界であった農業に、不安はなかったのだろうか。「まあ、一回やってみて、ダメだったらまたそこで考えればいいのかなって(笑)」。一見、楽観的に見える富永さんだが、新規就農者への助成金制度を活用したり、また、少量多品目の生産でリスクを減らしたりと、緻密な計算も見える。「正直、めちゃくちゃ過酷です(笑)。真剣じゃなかったら農業は続けられないし、ガツガツ稼ごうって気持ちがないと家族を養っていくのはなかなか難しい。でも、自分から地域に溶け込んでいけば、周りのみなさんが助けてくれるので、真剣な人にはぜひ入ってきてほしいなと思います」。

2016年に農業を始めた富永さん。現在、畑は7アール(700平方メートル)。季節を通して常に10種ほどの野菜を露地栽培している。そんな富永さんの直近の目標は「ハウスを建てること」だ。目下、そのための土地を探している最中。「ハウスがあれば、ある程度、栽培の基盤が見えますので。そこに、子供が好きな、アスパラガスとモモを植えたいんです」。富永さんの農業への夢は膨らむ。


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近所の方がお裾分けにと持ってきてくれた柿。

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水の音に、カエルの声と、四季を感じられる場所だ。

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適度なリノベーションをし、住みやすくなった室内。
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サラリーマン&週末農家
岡田真二さん、まどかさん、惇平くん、和穂ちゃん、小春ちゃん
都市で働き、田舎で農業を始めるという選択。
これから移住を検討する方は、「田舎でスローライフを楽しみたい!」という気持ちだけではなく、積極的に地域へ貢献するという姿勢が必要だと思います。そして何よりも大切なのは、その土地にどれだけ惚れ込むか。「Love the 地域」という気持ちが大事だと思います。
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かまどでていねいに炊かれたご飯は、格別の味。

小高い山々に抱かれた、のどかな田園風景が広がる三田市波豆川(はずかわ)地区。山辺に立つ見事な古民家が、岡田真二さんとその家族が暮らす家だ。2016年に移住し、現在、平日は大阪府にある企業で働き、週末は大好きな野良仕事に汗をかく。移住のきっかけは子どもの誕生だ。「長男が生まれて食を見直すようになって。もともと関心はあったけど、おいしいものを食べたいし、自分で畑をしたいなって思ったんです」。知り合いを通じて、ここ波豆川に畑を借りたのが、移住のさらに3年ほど前。以降、週末ごとに通い、地域の祭りに参加させてもらうまでの関係になっていく。「この土地に通う中で波豆川の豊かな環境に惚れ込み、どうしてもこの地域に、そしてこの家に住みたいとずっと思っていました。しかしなかなかうまくいかず、諦めかけていた時に、地域の方が紹介してくださったんです。運命的でした(笑)。」

野菜のほかに、お米づくりも始めたという岡田さん。「自給自足には程遠く、地域の方のおかげで、豊かな食をいただけています」と話すが、少しずつ自家栽培でできる量も増え、以前に比べ食費も減ったそう。「水も空気もいいので、米も野菜も本当においしい。大阪や京都、神戸などの都市部までだいたい1時間圏内と、私のような『週末野良仕事』を目指すには、とても便利なところです」。

生産物のブランド化や6次産業化、さらには食をテーマにしたツーリズムの可能性などについても妄想中という岡田さんだが、今の暮らしの中で、それらの優先順位はまだ低いという。「脈々とした地域の人たちの暮らしがあって、そこにたまたま僕らは受け入れてもらえました。子どもも地域の子どもの1人として育ててもらっていて、本当に感謝しかない。そんな地域のために自分を役立てられるか。ここにはスーパーマンみたいになんでもできる先輩ばかり。まずはさまざまのことを勉強させてもらいながら、地域に貢献できるようになりたいと思います」。

都市で働き、田舎で農業を始めるという選択

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